
父が死亡し、遺産分割協議の結果、兄が農地を相続し、相続登記も済ませました。ところが、その3か月後に事情で兄が農業を行えなくなり、私が農業を継ぐことになったのですが、農地を私が相続できるよう遺産分割協議をやり直すことはできますか?尚、相続人は兄と私の2人だけです。
相続人全員の合意があれば、遺産分割協議をやり直すことは可能です。ただし、農地の価格によっては贈与税その他の税金が課税されることがありますので注意が必要です。

相続人全員の合意による遺産分割のやり直し
ご相談者のように、遺産分割協議が成立した後に事情が変わり、相続人全員が合意のうえ、遺産分割協議をやり直すことはできます。
すでに行ってしまった相続登記も間違っていたということで抹消して、新たな遺産分割協議書を作って、ご相談者名義に相続登記を行うことができます。
このように、相続人全員の合意があるならば、遺産分割協議のやり直しは法律上は全く問題ありません。
ただし、税務上の問題があります。
税務上、遺産分割のやり直しは、遺産分割とはみなされず、譲渡・交換・贈与として課税を受けます。特に贈与税は税率が高く、農地の価格によっては多額の税金がかかってしまう恐れがありますので、一度税理士の先生にご相談されることをお勧めします。
無効な遺産分割のやり直し
上の場合と区別していただきたいのが、もともとの遺産分割協議が法律上無効で成立していなかった場合です。
遺産分割協議に参加していない相続人がいたり、あとから相続人が現れたり、相続人の誰かが遺産を隠していた場合などは、そもそも遺産分割協議自体が無効で成立していません。
この場合は、遺産分割協議を必ずやり直さなければなりません。
税法上も通常の遺産分割とみなされ、相続税の申告が済んでいれば、相続税の修正申告や更正の請求を行います。
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